避難先から絵本を自主出版

絵本 「手紙 ~お母さんへ~ 」

 

避難先から自主出版した作者は、浪江町で塾を経営していたご夫婦、堀川 文夫さん・貴子さん。

原発事故により震災直後に強制避難指示となり、住処をあとにするしかなかった現実。

愛犬と愛猫と一緒に避難した。

この絵本は震災後に避難先で亡くなった愛犬目線で書いた絵本です。

愛犬の桃は何を想い、何を感じ、一転した環境の中で家族を見つめ過ごしたのでしょうか。

そして二度と起きてはならないと震災のことを伝え続けるお父さんとお母さんにどんな気持ちで想いを寄せていたのでしょうか。

 

 原発事故により強制避難区域となった地域にも普通に平凡にペットと暮らす家族がたくさんいました。数日で帰って来れるだろう…と着の身着のまま避難し、いつもの近所へお買い物に行く飼い主の帰りを待ってるかのように留守番をしているペットはそのままで、避難先で住処が強制避難区域と指定され、突然に自宅に帰るどころか、住んでいる町にさえ入ることを強制的に閉ざされてしまった。心を引き裂かれる想いでペットを置いて来たことを悔やんだ人々は数えきれないほどです。「どうか…生きていてくれ。」とペットの無事を祈るも幾つもの時が経ち、無残な姿で発見され、この起こった一連には想像を絶する現実があったのです。

 人間の命があるように動物にも大切な命があります。震災から数か月後やっと住民に許された一時帰宅は、混み合うコールセンターに繋がるまで電話を鳴らし、指定された日程を待ち、定員集団でマイクロバスで向かい限られた時間の中での一時帰宅だった。許された荷物の持ち出しは45ℓの半透明の袋一枚でした。

 また一緒に避難することが出来たペットも、一転した環境の中で様々な変化に何かを感じながら過ごしていることでしょう。 この絵本「手紙 ~お母さんへ~」の物語を通しても皆さんの心の中に想いが届くことを願います。

 

 この絵本中に描かれている絵は塾の卒業生が散り散りになった各避難先から描き上げた作品です。離れ離れの地から想いをひとつにして作り上げた絵本です。